保育士試験において頻出の「教育思想家」の1人がルソーです。ルソーは深いんです、いろいろと。調べだすと保育士試験を逸脱してしまうのですが、人物のイメージとその人間味あふれすぎなエピソードも含めてインプットしていくと、試験で出てくるときにあの困ったおじさんかと、キーワードが沢山出てくるようになります。
この記事では、ルソーの考え方、試験でよく問われるポイント、覚えやすい語呂合わせ、そして実際の過去問題を使った解説まで、わかりやすくご紹介します!
ルソーってどんな人?
ルソーの主要著作一覧
ジャン=ジャック・ルソー(Jean-Jacques Rousseau)は、18世紀フランスの思想家・教育者。
ルソーは教育論だけでなく、政治哲学や文明批判など幅広い分野で著作を残しています。社会契約論もとっても有名ですよね、著書を年代順に並べるとこれまた興味深いものです。
著書名 | 内容・テーマ | 発表年 |
---|---|---|
エミール | 教育論。子どもの自然な成長を尊重する理想的な教育を描く | 1762年 |
社会契約論 | 「一般意志」に基づく民主的な国家のあり方を論じた政治哲学書 | 1762年 |
人間不平等起源論 | 社会的不平等の起源を自然状態から文明への変化で説明 | 1755年 |
学問芸術論 | 学問や芸術の発展が人間の道徳を堕落させたとする文明批判 | 1750年 |
告白 | 自身の人生を赤裸々に綴った自伝。近代的自我の誕生を象徴 | 1782年(死後出版) |
孤独な散歩者の夢想 | 晩年の内省的エッセイ。自然との対話や孤独の哲学が語られる | 1782年(死後出版) |
言語起源論 | 言語の発生と人間の感情との関係を探る哲学的考察 | 未完(1770年代) |
ルソーの逸話:理想と現実のギャップ
こうした逸話は、ルソーの思想が「理想を追い求めたが、現実には苦しんだ人間」だったことを物語っています。保育士試験対策としては、「思想と実生活のギャップ」も理解しておくと、記憶に残りやすくなりますよ。
教育論の大家なのに…自分の子どもは孤児院へ
- ルソーは恋人テレーズとの間に5人の子どもをもうけましたが、いずれも孤児院に預けてしまったとされています。
- 経済的な事情や社会的立場を理由にしたとされていますが、教育論『エミール』で理想の子育てを語った人物としては、かなりの矛盾。
- この事実は後に批判の的となり、「それでよく教育論が書けたな」と言われることも。
逃亡と放浪の人生
- 若い頃から奉公先を逃げ出したり、放浪生活を送ったりと、定職に就かず転々とした生活をしていました。
- 教会や政府からの弾圧を受けてスイスやイギリスへ亡命したこともあり、晩年まで安定した生活とは言えません。
■ ルソーの教育思想のポイント
項目 | 内容 |
---|---|
子ども観 | 子どもは生まれながらにして善(性善説) |
教育観 | 子どもには発達に応じた自然な成長を妨げない「消極教育」が必要 |
教育の段階 | 子どもの発達段階に応じた教育を提唱(5つの段階) |
代表作 | 『エミール』 – 架空の少年を育てる形式で教育論を展開 |
自然主義教育 | 社会の影響からできるだけ遠ざけ、自然に沿った教育をするべきだと考えた |
覚えやすい語呂合わせ!
語呂合わせでルソーを暗記しよう!

「ふるそーな、エマール(洗剤)、ちょっと消極的かな、感動!!善の子育つ」
ふるそー…ルソー:ジャン=ジャック・ルソー
エマール…エミール:主著『エミール』
消極的かな…「消極教育」が必要
感動!…感動:感情・情操教育を大切にした
善の子育つ…善の子:性善説(子どもは生まれながらにして善)
実際の過去問にチャレンジ!
\ 令和3年 保育士試験 過去問(筆記)/
教育原理 より
問:次の文は、近代以降の教育思想に関する記述である。最も適切なものを一つ選びなさい。
A. ルソーは、『エミール』の中で、子どもは生まれながらにして善であるとし、自然に即した教育の必要性を説いた。
B. ペスタロッチは、『学問のすすめ』の中で、実学を通した教育の必要性を説いた。
C. フレーベルは、『エミール』の中で、遊びを通じての教育を重視した。
D. デューイは、『人間の教育』の中で、道徳性の発達段階について述べた。
【解答と解説】
正解:A
- A:○ ルソーの代表作『エミール』の内容と一致。「性善説」や「自然に即した教育」がキーワード。
- B:× 『学問のすすめ』は福沢諭吉の著作です。ペスタロッチではありません。
- C:× 『エミール』はルソーの著作であり、フレーベルの著作ではありません。
- D:× 『人間の教育』はシュプランガーの著作であり、デューイではありません。
保育士試験に出る!教育思想家の比較表
思想家の正誤問題が頻出です。苦手な方もいらっしゃるかもしれません。正誤問題に出されがちな人物の違いをまとめました。
名前 | 生没年 | 主な著書・思想 | キーワード | 試験対策ポイント |
---|---|---|---|---|
ルソー | 1712–1778 | 『エミール』 自然に学べ | 自然主義教育 消極教育 子どもは育つもの | 「子ども中心」「環境と自由」に注目。発達段階も出題される。 |
ペスタロッチ | 1746–1827 | 『隠者の夕暮れ』 貧民教育 | 愛・労働・知識 直観教授法 | 「教育の三要素(頭・心・手)」「家庭教育の重視」も押さえる。 |
フレーベル | 1782–1852 | 『人間の教育』 幼稚園の創設者 | 遊びの重要性 恩物(おんぶつ) 自己活動 | 「恩物」や「遊びの中で学ぶ」など、保育との関連が強い。 |
シュプランガー | 1882–1963 | 『生の諸形式』 性格の類型論 | 6つの価値型(理論型・経済型など) | 教育思想家というより、青年心理学の選択肢で出る。 |
試験対策のポイント
- ルソーとペスタロッチの違い
→ ルソーは「自然にまかせる」、ペスタロッチは「愛情と実践教育」
→ ルソーは「教育しない教育」、ペスタロッチは「手をかける教育」 - フレーベルとペスタロッチの違い
→ フレーベルは「遊び」「恩物」が中心、ペスタロッチは「家庭と労働」 - シュプランガーとの違い
→ 他の3人は「教育方法や子ども観」に重点があるが、シュプランガーは「性格分類」や「青年期心理」に注目
例題(過去問風)
問:次の人物とその説明の組み合わせとして、正しいものを一つ選びなさい。
- ルソー − 子どもの内的発達に従った消極的教育を説いた
- ペスタロッチ − 遊びの中での学びと恩物による指導を重視した
- フレーベル − 自然にまかせた子ども中心の教育を重視した
- シュプランガー − 教育は直観に基づくべきとした
正解:1
まとめ
ルソーは教育史においてとても大切な人物です。
これをベースに、選択肢の細かいワードも読み取れるように練習していきましょう!
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